こんにちは。さとうです。

 

今回は災害研での活動がきっかけとなって起こった出来事を紹介したいと思います。

 

私は、大学での授業や学生アシスタントとしての活動の経験から、古文書や絵図などの史料が日本には数多く残されている事を知りました。世界でも大変珍しいことだそうです。

 

そこで家族との会話の中で、日本にはたくさんの史料が存在していることや、その史料が災害で人知れず処分されてしまうこともあることを話しました。その流れで、うちの知り合いのところにも古い文書があったらいいのに、なんてことを言ったのです。

 

すると、しばらくたってから祖母からこんな話を聞きました。

 

「親戚の家にある過去帳が大分古くなっているので、それを新しいものに書き直してくれないかと言われた」

 

見せてもらった過去帳は、確かに長い時間の経過を感じさせるものでした。紙の色は所々茶色くなっていて、折り目は破けそうになっているところもありました。

はじめに書かれた説明書きを読むと、過去帳そのものは大正13年(1924)に当時の当主が作成したものらしいのですが、なんとその家の初代の没年は現代から遡ることおよそ300年前の正徳2年(1712)でした。

 

また、過去帳を書いた大正時代の当主の方がいろいろ研究していたようで、初代がその土地に移り住む以前の一族のことまで考察された覚書もあり、大変興味深く読ませていただきました。下の写真のコピーは過去帳と一緒に見せていただいたもので、明治〜大正時代の石巻市渡波地区で江戸時代から続く製塩業に関わる様子を写したものではないかと聞きました。

図1

 

その後、無事に新しい過去帳を書き終えてお返ししてからその親戚の家を訪問した際に仏壇に挨拶しに行くと、なんと私が書かせていただいた過去帳が、仏壇に日付に合わせて開いて飾ってありました。前の過去帳のときからの習慣だと聞きましたが、恥ずかしいやら恐れ多いやら、少し気が引ける思いでした。

 

最後に、自分にもつながる古い歴史を直接扱って、さらに後世に伝わる形にすることに携わることができたことはとても誇らしい事です。

そんな役割を任せてくださったそのお家の方々、過去帳の解読を助けてくれた先生に感謝して文を締めたいと思います。

ありがとうございました。