こんにちは。みやさかです。

私たちは、学部1年生の時から、研究室で行っている史料調査に何度か同行させていただきました。今回は、その中でも私たちが初めて参加した史料調査(撮影)についてご紹介したいと思います。

私たちが訪問したお宅は、かつて仙台藩の家臣であったA家で、海を臨む小高い地にあり、ご当主のお話によると、東日本大震災の時はすぐ下まで津波が押し寄せ、A家の旧家臣の家々は流されてしまったということでした。私たちがお伺いした時は、堤防工事の最中であり、A家の外はほとんど更地の状態でした。

訪問してまず、ご当主の方からA家の歴史についてお話をお伺いし、それからA家のお仏壇にお参りをして史料の撮影に取りかかりました。お仏壇へのお参りは、調査をさせていただくことに対するご挨拶であり、史料調査に伺った際は必ずします。

今回の調査で撮影する文書は、A家で代々大切に伝えられてきたもので、小さい木箱に入っており、風呂敷に包まれ、いざという時にすぐ持ち出せるように、肩に掛けられるようになっていました。今回の目標は、この木箱に入っていた文書約40点を全て撮影することでした。

撮影方法は、下の写真にもあるように、三脚を広げ、カメラを逆さまに取り付け、下にボード(ホワイトボードに中性紙を貼ったもの)を敷き、文書を1点ずつ置いてマグネットで押さえて撮影していくというものです。木箱から文書をむやみに取り出すと元の状態がわからなくなってしまうので、上から順番に番号をふっていきますが、この作業は基本的に先生が行いました。私たちはそれを受け取り、2人1組で撮影していきました。私たちにはまだ十分な経験がなかったので、史料の取り扱いはもちろんのこと、カメラのピント調節や撮影位置など様々なことに注意しながら撮影していきました。特に、折り畳まれていたり、封紙や包紙に包まれたりしている史料は、撮影後にしっかりと元の状態に戻さなければならないので、広げる時は少し緊張しました。
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撮影中は、どんなことが書かれているかということはもちろん気になりましたが、その気持ちは抑えて、とにかく撮影だけに集中しました。そうした中でも、実際の史料に触れる経験を通して、様々なことを感じ、学ぶことができました。例えば、撮影した文書の中に仙台藩の歴代藩主からA家に対して発給された知行宛行状が多くありましたが、それらは厚手の雁皮紙(斐紙)に書かれています。雁皮紙とは和紙の一種で、独特の光沢を持ち、滑らかな肌触りをしていますが、直接それに触れることで、それが実際どういうものなのか理解することができました。また、封紙や包紙に包まれた文書を見ることによって、文書が実際にどのような形で伝来するのかということも知ることができました。

ここで述べたことはごく一部ですが、所蔵者の方と直接お話をして、実物の古文書に触れることを通じて、古文書には文字情報だけではない様々な側面があることに気付くことができました。その意味で、この史料調査は、私にとってとても貴重な経験になったように思います。