こんにちは。みやさかです。

今回は、昨年の1月に福島県二本松市のある寺で実施した歴史資料の調査について紹介します。
これまで私たちが参加してきた調査は研究室主体で実施したものでしたが、今回は市役所や企業の方々との産学官連携という形で行われました。そのため、私たちの主な仕事は、今まで積んできた経験をもとに、いわゆる「宮城方式」と呼ばれる古文書撮影方法を市役所や企業の方々に教えることでした。今まで史料調査を通して様々ことを学んできた私たちにとって人に教えることは初めてのことでしたので、いつになく不安を感じました。

調査は2日間にわたって行いましたが、初日は私たちの教え方に不手際があったり、お互いに慣れないところがあったりしましたが、2日目にかけて次第にペースを掴み、一点ごとに異なる古文書の状態に対してどう撮影すればよいのかということにも、それぞれが対応できるようになりました。
二本松調査風景
撮影した史料の内容は多種多様でしたが、お寺ということもあって、経典類が目立つ存在でした。これらは基本的に木版本で丁数が多く撮影に時間がかかりますが、中を見るとただの版本ではなく、その隙間に驚くほど細かい字でびっしりと書き込みがされているものが多くありました。こうしたものから、江戸時代の住職の勉強の跡が窺うことができ、興味深く感じました。

現地調査の良いところは、所蔵者の方と直接お話できることや、古文書がどのように伝来してきたのかということを直接目にすることができることであることはもちろんですが、その他にも、その土地の歴史や文化を肌で感じることができるといったこともあります。実際には調査以外の時間はほとんどありませんが、今回は2日間に亘る調査でしたので、2日目の朝に一足早く起きて二本松市内を少し散策しました。二本松神社や二本松城の大手門跡、二本松藩主丹羽氏の廟所などを簡単に巡っただけですが、この地域の歴史に触れることができました。(写真:二本松城大手門跡)
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