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皆様はじめまして、初めてブログ投稿させて頂きます、下総介と申します。
文学部2年生、日本史を専修しております。この古文書教室には昨年末より参加させて頂いています。10年以上お城好きをしている関係で、今回ご紹介する会の先導役を勤めさせて頂きました。

さて今回は、当ブログでご紹介していなかった仙台城御歩きの会をレポート致します。


仙台城御歩きの会は4月23日、新入生4名をお迎えして、10名で仙台城を廻るフィールドワークとして実施しました。大学があるのは仙台城の一部ですので、親睦を兼ねて城の全体を廻ってみようという企画になります。



当日は風がありましたが快晴でした。
集合は川内駅前、みんなでお昼を購入し、まずは地下鉄の線路を見下ろしながら、広瀬川の段丘地形を一望しました。仙台が河岸段丘の上に形成された町であることを確認しました。
続いて大手道が広瀬川を渡る大橋へ向かいます。大橋の架橋年代は不明ですが、大橋に使う材木についての古文書から、慶長14年頃に架けられたという説があります。その後昭和13年に架けられた現在の橋になるまで何度も洪水で流出しています。みんなで北側の川底に残る旧橋の柱穴を覗き込み、直線に伸びる大手道の延長部にピタリと重なる位置だったことを確認しました。

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大橋から下町段丘上にある重臣屋敷群の話をしつつ、巽門まで、水堀沿いを歩きました。追廻地区で行われたイベントのため、下屋敷(東丸)の土塁の切岸面が草刈りされ、大変綺麗に見ることが出来ました。曲輪内からの排水のための石組み遺構を見ることができました。

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いよいよ本格的に城内に入ります。今回は巽門から入り、清水門の坂を登って行きました。仙台城には大手道が二時期有ります。皆さんと登りながら、この坂が政宗時代に遡る道であることを、石垣の積み方などから確認しました。現在は消滅していますが、巽門下には馬出が存在しており、これも年代の決め手の一つです。

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急な坂を登っていくと巨大な石垣の壁が現れます。ここでは発掘調査で確認された3時期の石垣についてご紹介しました。

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本丸に上り切ってから、城下を一望しつつ、仙台城が山城であること、中世の街道から離れた位置に築かれた町の構造などを見渡しました。お昼を食べて、各自仙台城見聞館を見学しました。再集合後、特徴的な建物の一つである懸造跡を経由しながら、仙台城が築城された当時の軍事的緊張を感じさせる埋門を見にいきます。なぜ近世に山城が求められたのか、慶長5年当時の背景を振り返りました。

本丸会館前の城下の模型を見ながら、仙台の町が江戸に倣った点があることをご紹介しました。また拡張した時期差で生まれた方位の違いや、武家地と町人地で異なる地名などもご説明しました。

続いて石垣の石のサンプルを前に、石の割り方や加工度合いに見られる時期差などをお話しました。伊達武将隊の政宗殿がいらっしゃって、声をかけて下さりました!

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本丸を去る前に、本丸御殿の大広間部分の平面表示をご紹介し、上々段の間という特徴的な空間にも足を踏み入れました。昨年の3月に発生した地震で崩落した石垣を遠目に見ながら、積み方の違いから度重なる修復を受けて来た履歴をご覧頂きました。


坂を下り、下屋敷の中を抜け、仙台城が戦国期の居館-要害の体制を継承した構造であることを確認しました。子の門から出て、大手門へ向かいます。この大手門ははじめに見た大橋の延長部突き当りにあります。大手門が清水門から変更されたのは二の丸が新たに建設されたからです。ここには政宗から忠宗への代替わりに際し、仙台城に大きな方針転換があったことをご紹介しました。空襲で焼失した大手門を偲びながら被熱痕のある石垣を戦争遺跡としてご紹介しました。

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大学のキャンパスに戻り、二の丸御殿唯一の痕跡である石積みを見てから、文系食堂の前にある環状交差点に向かいました。この環状交差点は、キャンパス内に点在する消火栓と共に、ここに米軍が来たことを示すものです。仙台城が廃城後どのような趨勢を辿ったのか、振り返りました。台所門跡から二の丸を出て、千貫沢に残る石垣を見て、普段歩いている足元に大規模な石垣が残っていることをご紹介しました。最後は当時の藩の役人たちが上り下りした扇坂を下って、国際センター駅で解散しました。

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仙台城は戦争から平和へ、時代の移り変わりとともに形を変えていった城の姿を感じさせてくれる城です。今回歩いてみた内容は普段のこもんどうの活動とは少し違ったものですが、東北大生には身近な話題ですので、有意義なフィールドワークだったと思います。


江戸時代を通じて、仙台城は仙台の歴史の中心ですので、フィールドワークは定例化するかも(?)しれません。その時は地震で崩落し見に行く事が出来なかった箇所も、復旧していると願っています。
ここまでお読み頂きありがとうございました。またお会いしましょう!