皆さん、初めまして、今年度から入部したリと申します。中国出身で、日本思想史を専修しております。9月20日、21日みちのく古文書同好会の学生たちと一緒に遠野市立博物館へ行って史料調査の活動に参加しました。とても充実した2日間を過ごしました。

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1日目は9時前に仙台を出発して、楽しい旅が始まりました。遠野までは車で移動して、結構時間がかかりましたが、車中で蝦名先生と2人の女子学生といろいろお話をしました。印象的だったのは、蝦名先生はご自身の経験を述べられて、社会人として働いた経験が後日の研究に役立つとおっしゃっていました。社会経験を積んだ後、前と全く同じ文献を読んでも、研究視点が変わること、新しい研究成果が出せる可能性があるということでした。日常生活から研究のインスピレーションを受けるのはどれほどうれしいことでしょうか。歴史研究も思想研究も、一見、形而上的なものにみえますが、日常生活とは深く関わっているのだと思います。

1日目は雨でした。雨中の遠野の町は一層落ち着いて、歴史の風情があるように見えました。いいところへ来ましたと思いました。遠野市立博物館で、早速史料調査が始まりました。史料調査というのは、そこで所蔵している古文書をデジタルカメラで撮影することです。古文書は、大学でみんなと一緒に読んだことがあって、博物館で見たこともありますが、実際触ってみて、そして撮影したのは初めてです。単純な仕事に見えますが、実際には古文書の保存や普及に大きく役立つ、有意義な作業です。いろんな文書を撮影した後、自然と古文書の内容に興味を持つようになり、意味を知りたくなりました。これからもっと頑張って古文書を勉強しようと思いました。

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遠野市立博物館でちょうど「遠野物語と呪術」の特別展を開催していて、作業が終わった後に見学しました。印象深かったのは、「オシラサマ」という神様の神像です。桑の木などで21組のご神体を作って、東北地方を中心に信仰される民間信仰です。多彩な布で作られ、風変わりで面白いと思いました。

参考:遠野市立博物館のX(旧Twitter)アカウント⇒https://twitter.com/tonomuseum

2日目仙台に戻る途中で、一関市博物館へ行きました。一関市は蘭学者・大槻玄沢の出身地です。博物館では、大槻玄沢のテーマ展示があり、玄沢が改訂・編纂に関わった『重訂解体新書』や『和蘭医事問答』などが展示されており、江戸時代の知識人の新しい知識に対する情熱を垣間見ることができました。また、一関市博物館には仙台藩の天文に関する資料が多く所蔵されていて、以前には天文に関するテーマ展も開催されました。私は、江戸時代の天文地理学に興味を持っていたため、テーマ展パンフレット(『天体と時間の文化史』、『江戸時代の世界地図』)を入手できて、とても嬉しかったです。東北地方の歴史や文化に興味を持つ方々には、ぜひ一関市博物館をお勧めします。

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その後、同好会のみなさんと一緒に、達谷窟毘沙門堂を見に行きました。その理由は、最近、古文書同好会では『平泉往来』という江戸時代の往来物を読み進めて、そこに記された名所旧跡(江戸時代の観光スポット)を実際に辿ってみようということになったからです。なかなか風雅な活動です。江戸時代の人たちが見た風景が目の前にあると考えると、まるでタイムスリップしたみたいで、感動します。引き続き、『平泉往来』の記述に従って、中尊寺へ行きました。参道の両側に森然たる巨木が立ち並び、仏堂がその間に点在し、何度来ても飽きない風景です。金色堂は900年近くの歳月を経た今日でも輝いており、藤原四代の栄華を無言で物語っています。

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旅の最後、夕日が沈むころに、無量光院跡へ来ました。かつて無量光院にあった池に、期間限定で水が張られていて、風景がとてもきれいでした。仏教が盛んだった当時の平泉の様子を想像させます。

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今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。