東北大学文学部のみやさかと申します。
現在、私たちは週に1回古文書教室を実施しています。そこで、今回は古文書教室の様子について簡単に紹介したいと思います。
毎回の古文書教室は、参加者全員の都合が付く日時を決め、1回あたり約2時間実施しています(基本的には18時頃から20時過ぎまで)。全員が毎回事前に一定の範囲を解読して、それをホワイトボードに書いて、先生のチェックを受けた後に、意味も確認しつつ全員で読み合わせるというのが、毎回の大きな流れです。ただ、今年はコロナのため、それらを全てオンラインで行っています。
古文書教室が始まって2年が経とうとしていますが、私たちは最初から難しい古文書を読んでいたわけではありません。一番最初に読んだのは、明治前期に出版された小学校の教科書です。これ自体は古文書ではありませんが、当時の言葉遣いにはまだ江戸時代の名残りがあり、他方で文字そのものは現代の私たちにも比較的読みやすい活字なので、古文書を読むための入り口として最適なテキストです。
その次に読んだのが、江戸時代に出版された往来物です。まず、江戸時代の書物が明治期以降のものと大きく異なる点は「くずし字」によって書かれているということです。近代以降は活字が中心ですが、それ以前は草書体のように崩して書いた文字が主流でした(特に江戸時代は御家流という書体が広く用いられました)。そのため、私たちも江戸時代の古文書を読むためにこれに慣れておくことが必要となります。そこで最適なのが往来物というジャンルの書物です。往来物とは、子どもたちが手習いをするために用いた、言わば江戸時代の教科書ですので、比較的はっきりした書き方をしており、くずし字の形の基本を習得することができます。(イメージは下の写真の通りです)
その上で、いよいよ江戸時代の人たちが手書きしたものを読んでいくことになります。それぞれに書き癖があるので難易度は様々ですが、そうしたものにたくさん触れることによって、より実践的な力を身に付けることができます。現在の私たちもちょうどこの段階にいて、様々な古文書を読んでいます。
古文書を解読する際には、もちろん古文書だけをひたすら眺めていても何もわかりません。基本的に古文書解読字典を自分の手元に置いておき、それを最大限活用しながら解読を進めていくことになります。字典を引くことに慣れるまでにも少し時間はかかりますが、とにかく漢字の部首や前後の文脈など古文書から得られるあらゆる情報を手がかりにし、色々と推測しながら字典を引くということの繰り返しだろうと思います。そうした検討を積み重ねることで、古文書を読む力もついていくのだと思います。
どうでしょうか。少しは古文書教室の様子がわかっていただけたでしょうか。このように段階を踏みながら、少しずつ古文書を読んでいくので、現時点で古文書を全く読むことのできない初心者も確実に古文書を読む力をつけることができると思います。
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