はじめまして。
さとうです。
今回は、古文書教室で読んだことのある文書の中から、『金華山詣』を取り上げたいと思います。
金華山は、宮城県の牡鹿半島の海上に浮かぶ島です。今までの往来物と同じく、仙台を出発点として、この金華山に至るまでの道のりを順に追っていく史料になります。
さて、次に示すのは『金華山詣』の最初の部分です。
夫陸奥国金華山は
かけまく裳
聖武皇帝の御時、当
山より初て黄金を貢ず
と云、
ここには金華山の由緒が書かれています。
陸奥国とは現在の福島県、宮城県、岩手県、青森県にまたがる地域です。ここにあった金華山から、聖武天皇の時代に初めて黄金を献上したということです。
聖武天皇と言えば、東大寺の盧舎那仏の造立や国分寺・国分尼寺の建立で知られていますが、その東大寺の大仏を作るために、黄金がたくさん必要とされたのでした。
そして、いよいよ金華山へむけて出発します。
先御城下を
出立候、折しも弥生の
はしめつかた、釈迦堂、塩竃
松嶋ハ花の盛にて、
この「御城下」というのは仙台城のことです。
青葉城の別名でも知られ、現在は石垣のみ見ることができます。
旧暦の「弥生のはじめつかた」といえば、現在の四月前半ごろにあたるでしょうか。現在も知られる、塩釜や松島に花が色とりどりに咲き乱れる中を歩く姿が想像できます。
ほどなく石の巻に
至り、爰に宿りを求めて
翌の日日和山鹿嶋愛宕
の両社を拝し、廣前の茶
店に腰うちかけ、彼方此方を
一見す、
次に出てくるのは、石巻の日和山です。
山の上にある神社に参拝したあと、茶店からの眺めを楽しんでいる様子が描かれています。
当時はここから富士山も見ることができたと記されています。
一方、近くには建物がたくさん並び、港町らしく大小の船が所狭しと集まっているようです。昔からの繁栄ぶりがよくあらわされています。
現在の日和山の風景です。
ちなみに、今もここには、団子やお茶、そのほかにも軽食を提供してくれる茶店があります。もしよければ、『金華山詣』と同じようにそこに腰掛けて、江戸時代の様子を思い浮かべながら景色を楽しむことをお勧めします。
さて、今回はここまでとします。
仙台城下を出発し、石巻まで至りました。
今のところ、『金華山詣』は中編・後編と続く予定です。今後は金華山までの残りの道程と、金華山にある黄金山神社を参拝する様子について説明できればと思っています。
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